○取手市男女共同参画推進条例
平成17年1月4日
条例第1号
目次
前文
第1章 総則(第1条~第8条)
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策等(第9条~第20条)
第3章 取手市男女共同参画審議会(第21条~第23条)
第4章 雑則(第24条)
付則
日本国憲法は,個人の尊重と法の下の平等を定め,性別によって差別をしてはならないことをうたっている。これを踏まえ,取手市は,男女が互いの人権を尊重し,認め合い,互いに協力し合う男女共同参画社会の実現に向けた基本計画を県内でもいち早く策定し,施策の推進に向けて様々な取組を行ってきた。特に,子育て支援についての取組は早くから推進してきたが,多様な生き方が可能になる社会の達成には,依然として解決すべき多くの課題が残されている。
取手市は,首都圏近郊都市として,世帯数の増加傾向も見られるが,特に,核家族の割合が高いという特徴もあり,出産や子育てを期に仕事を断念する女性も少なくない。また,男性の遠距離通勤,長時間労働等によって,家事,育児,介護等の家庭生活への参画が充分にはできていない。性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会的慣行も根強く残っており,真の男女共同参画社会の実現には,なお一層の努力が求められる。
今後,少子高齢化,国際化,情報社会の急速な進展により家庭,地域,社会が大きく変化していく中で,全ての市民が安心して暮らし,そして,取手市の地域の特性を生かした男女共同参画社会の実現に向け,全ての人が平等で生き生きと暮らすことができる活力ある取手を築くことを目指し,市,市民及び事業者が一体となった取組を推進するため,この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,男女共同参画の推進に関する基本理念を定め,市,市民及び事業者の責務を明らかにするとともに,市の施策の基本となる事項を定めることにより,男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し,もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が,社会の対等な構成員として,自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され,もって男女が均等に政治的,経済的,社会的及び文化的利益を享受することができ,かつ,共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため,必要な範囲内において,男女のいずれか一方に対し,当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 性別 生物学的な性別及び社会的又は文化的に形成された性別をいう。
(4) 性別等 性別,性自認(自己の性別についての認識をいう。)及び性的指向(自己の恋愛又は性愛の対象となる性別についての指向をいう。)をいう。
(5) ドメスティック・バイオレンス 配偶者,交際相手等の親密な関係にある者又は当該関係にあった者に対する身体的,性的,心理的,社会的又は経済的暴力をいう。
(6) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手方の生活環境を害し,又は性的な言動に対する相手方の対応に起因して当該相手方に不利益を与えることをいう。
(7) 事業者 市内において事業を行う個人及び法人その他の団体をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進は,男女の個人としての尊厳が重んぜられること,男女が性別による差別的取扱いを受けないこと,男女が個人としての能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されるよう行われなければならない。
2 男女共同参画の推進は,社会における制度又は慣行が,男女の社会における活動に対して及ぼす影響について,できる限り配慮し,男女が性別による固定的な役割分担にとらわれることなく多様な生き方を選択することができるよう配慮されなければならない。
3 男女共同参画の推進は,男女が,社会の対等な構成員として,市の政策又は事業者における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されるよう行わなければならない。
4 男女共同参画の推進は,家族を構成する男女が,相互の協力と社会の支援の下に,子の養育,家族の介護その他の家庭生活における活動についてその役割を円滑に果たし,かつ,当該家庭生活以外の活動を行うことができるよう配慮しなければならない。
5 男女共同参画の推進は,国際的な理解及び協力の下に行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は,男女共同参画の推進を主要な施策と位置付け,前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり,男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し,及び実施しなければならない。
2 市は,男女共同参画の推進に当たっては,国,他の地方公共団体,市民及び事業者と連携を図りつつ協力して取り組むものとする。
(市民の責務)
第5条 市民は,基本理念にのっとり,家庭,職場,学校,地域その他の社会のあらゆる分野において,自ら積極的に参画するとともに,市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は,基本理念にのっとり,その事業活動に関し,男女が共同して参画することができる機会の確保及び体制の整備に積極的に努めるとともに,市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(性別等による権利侵害の禁止)
第7条 何人も,性別等を理由とする差別的取扱い及び人権の侵害を行ってはならない。
2 何人も,個人の尊厳を踏みにじるドメスティック・バイオレンスを行ってはならない。
3 何人も,あらゆる場において,セクシュアル・ハラスメントその他の性別等に係るハラスメントを行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第8条 何人も,公衆に表示する情報において,性別による固定的な役割分担,セクシュアル・ハラスメント等性別等を理由とする偏見及び差別を助長し,又は連想させる表現及び過度の性的な表現を行わないよう努めなければならない。
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策等
(男女共同参画計画)
第9条 市長は,男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため,男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を策定しなければならない。
2 市長は,男女共同参画計画の策定をしようとするときは,取手市男女共同参画審議会の意見を聴くとともに,市民及び事業者の意見を反映するように努めなければならない。
3 市長は,男女共同参画計画を策定したときは,これを公表しなければならない。
4 前2項の規定は,男女共同参画計画を変更する場合について準用する。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第10条 市は,男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し,及び実施するに当たっては,男女共同参画の推進に配慮するものとする。
(教育における男女共同参画の推進)
第11条 市は,学校教育及び社会教育において,男女共同参画の推進に努めるものとする。
(生涯にわたる健康への配慮)
第12条 男女が互いの性を理解し尊重するとともに,妊娠,出産について相互の意思が尊重されること及び生涯を通じた男女の健康に配慮されるよう,市は,教育と啓発に努めるものとする。
(情報の収集及び分析)
第13条 市は,男女共同参画の推進に関する施策を効果的に実施するため,必要な情報の収集及び分析を行うものとする。
(年次報告)
第14条 市長は,男女共同参画計画に基づく施策の推進状況を明らかにする年次報告書を作成し,これを公表しなければならない。
(男女共同参画推進月間)
第15条 男女共同参画の推進について,市民及び事業者の関心と理解を深めるとともに,男女共同参画の推進に関する活動が積極的に行われるようにするため,男女共同参画推進月間を設けるものとする。
2 前項の男女共同参画推進月間は,毎年11月とする。
(市民及び事業者の自主的な活動の支援)
第16条 市は,市民及び事業者が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため,情報の提供その他必要な措置を講ずるものとする。
(市民及び事業者の理解を深めるための措置)
第17条 市は,男女共同参画の推進について,市民及び事業者の理解を深めるため,広報活動等その他適切な措置を講ずるものとする。
(推進体制の整備)
第18条 市は,男女共同参画の推進を図るために必要な推進体制の整備に努めるものとする。
(積極的改善措置の実施)
第19条 市は,男女共同参画の推進のため,市の人事管理及び組織運営並びに政策決定の機会等において,積極的改善措置を講ずるよう努めるものとする。
2 市は,男女共同参画の推進のため,附属機関(地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づく附属機関をいう。)その他これに準ずるものにおける委員の任命又は委嘱に当たっては,積極的改善措置を講ずるよう努めるものとする。
(苦情等の処理)
第20条 市民又は市内に通勤し,若しくは通学する者は,男女共同参画の推進に関する施策若しくは男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情又は相談その他の意見(以下「苦情等」という。)を市長に申し出ることができる。
2 市長は,前項の規定による苦情等の申出があったときは,関係機関との連携を図り,適切かつ迅速に対応するものとする。
第3章 取手市男女共同参画審議会
(設置等)
第21条 市長の諮問に応じ,男女共同参画の推進に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項を調査審議するため,取手市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は,次に掲げる事項に関して調査審議するとともに,必要に応じて市長に対し建議することができる。
(1) 男女共同参画計画の策定及び変更に関すること。
(2) 前号に掲げるもののほか男女共同参画の推進に関する施策の基本的事項及び重要事項に関すること。
(組織)
第22条 審議会は,委員15人以内をもって組織する。
3 委員は,次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 男女共同参画の推進に関し優れた識見を有する者
(2) 関係機関又は団体から推薦を受けた者
(3) 市民
(任期)
第23条 委員の任期は,2年とする。ただし,補欠の委員の任期は,前任者の残任期間とする。
2 委員は,再任されることができる。
第4章 雑則
(委任)
第24条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。
付則
(施行期日)
1 この条例は,公布の日から施行する。
付則(令和4年条例第7号)
この条例は,令和4年4月1日から施行する。