○取手市犯罪被害者等支援条例

令和7年3月19日

条例第6号

(目的)

第1条 この条例は,犯罪被害者等の支援に関する基本理念を定め,市並びに市民等及び事業者等の責務を明らかにするとともに,犯罪被害者等の支援の基本となる事項を定めることにより,犯罪被害者等の支援に関する施策を総合的に推進し,犯罪被害者等が受けた被害の回復又は軽減を図り,もって安全かつ安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

(1) 犯罪行為 日本国内又は日本国外にある日本船舶若しくは日本航空機内において行われた人の生命又は身体を害する罪に当たる行為(刑法(明治40年法律第45号)第37条第1項本文,第39条第1項又は第41条の規定により罰せられない行為を含むものとし,同法第35条又は第36条第1項の規定により罰せられない行為及び過失による行為を除く。)をいう。

(2) 犯罪等 犯罪行為及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。

(3) 犯罪被害者等 犯罪等により被害を受けた者及びその家族又は遺族をいう。

(4) 二次的被害 犯罪被害者等が,犯罪等による被害を受けた後に,他者の偏見,無理解,差別等により受けるプライバシーの侵害,名誉の毀損,精神的苦痛,心身の変調,経済的損失等の被害をいう。

(5) 関係機関等 国,茨城県その他の地方公共団体,警察,犯罪被害者等早期援助団体(犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年法律第36条)第23条第1項に規定する者をいう。),犯罪被害者等支援を行う民間の団体その他の犯罪被害者等の支援に関係するものをいう。

(6) 市民 市内に居住し,かつ,本市の住民基本台帳に記録されている者及び市内に居住しているが,やむを得ない理由により本市の住民基本台帳に記録されていない者をいう。

(7) 市民等 市民並びに市内に通勤し,又は通学する者及びこれらの者が組織する団体であって市内で活動するものをいう。

(8) 事業者等 市内で事業活動を行う個人又は法人その他の団体(法人その他の団体の場合にあっては,その構成員を含む。)をいう。

(9) 重傷病 負傷若しくは疾病が治り,又はその症状が固定する前における当該負傷又は疾病に係る身体の被害であって,当該負傷又は疾病の療養の期間が1月以上であったもの(当該疾病が精神疾患である場合にあっては,療養の期間が1月以上で,かつ,その症状の程度が3日以上労務に服することができない程度であったものに限る。)をいう。

(基本理念)

第3条 全ての犯罪被害者等は,個人としての尊厳が尊重され,その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。

2 犯罪被害者等の支援は,犯罪被害者等が受けた犯罪等による被害又は二次的被害の特性及び原因,犯罪被害者等が置かれている状況等に応じて,適切に行われなければならない。

3 犯罪被害者等の支援は,犯罪被害者等が被害を受けたときから再び安心して暮らすことができるようになるまでの間,必要な支援を途切れることなく受けられるように行われなければならない。

4 犯罪被害者等の支援は,その過程において,犯罪被害者等の名誉又は安心できる暮らしを害することのないよう行われるとともに,二次的被害及び再被害を生じさせることのないよう,犯罪被害者等に関する個人情報の適正な取扱いの確保に最大限配慮して行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は,前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり,犯罪被害者等の支援に関する施策を推進し,及び実施する責務を有する。

2 市は,犯罪被害者等を支援するための施策が円滑に実施されるよう,関係機関等との連携及び協力に努めるものとする。

(市民等及び事業者等の責務)

第5条 市民等及び事業者等は,基本理念にのっとり,犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等の支援の必要性についての理解を深め,二次的被害が生ずることのないよう配慮するものとする。

2 市民等及び事業者等は,市及び関係機関等が行う犯罪被害者等の支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

3 事業者等は,犯罪被害者等が安心な生活を営むために必要な各種手続に参加することができるよう,犯罪被害者等の就労及び勤務について十分に配慮するよう努めるものとする。

(相談及び情報の提供等)

第6条 市は,犯罪被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるよう,犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ,必要な情報の提供及び助言を行うものとする。

2 市は,前項に規定する相談並びに必要な情報の提供及び助言を総合的に行うための窓口を設置するものとする。

(見舞金の支給等)

第7条 市は,犯罪行為により死亡した者の遺族又は重傷病を負った者に対し,見舞金を支給するものとする。ただし,当該死亡した者若しくはその遺族又は重傷病を負った者のいずれかが,当該犯罪行為が行われた時点において市民でなかった場合は,この限りでない。

2 市は,前項の見舞金のほか,犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るため,必要な財政上の支援を行うものとする。

(他の地方公共団体との連携等)

第8条 市は,市外に住所を有する者が市内で起きた犯罪等により被害を受けた場合には,その者が必要な支援を受けられるよう,その者が住所を有する地方公共団体との連携及び協力を図るものとする。

(人材の育成等)

第9条 市は,犯罪被害者等が適切な支援を受けることができるよう,市の職員をはじめとした犯罪被害者等の支援を行う者に対し,犯罪被害者等の支援の必要性についての意識を高め,必要な能力を身に付けるための施策を講ずるものとする。

(関係民間団体に対する援助)

第10条 市は,犯罪被害者等の支援におけるその役割の重要性に鑑み,犯罪被害者等の支援を行う民間の団体の活動の促進を図るため,必要な情報の提供及び助言を行うものとする。

(犯罪被害者等への理解の増進)

第11条 市は,犯罪被害者等が置かれている状況並びに二次的被害及び再被害の防止の重要性についての市民等及び事業者等の理解を深めるため,啓発活動その他の必要な施策を講ずるものとする。

(支援を行わないことができる場合)

第12条 市は,犯罪被害者等が犯罪等を誘発した場合その他の犯罪被害者等の支援を行うことが社会通念上適切でないと認められる場合は,犯罪被害者等の支援を行わないことができる。

(委任)

第13条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は,令和7年4月1日から施行する。

(適用区分)

2 第7条の規定は,この条例の施行の日以後に行われた犯罪行為により死亡した者の遺族又は重傷病を負った者について適用する。

取手市犯罪被害者等支援条例

令和7年3月19日 条例第6号

(令和7年4月1日施行)