○取手市消防集団救急事故対策要綱
平成28年4月1日
消本告示第2号
取手市消防集団救急事故対策要綱(平成元年消防本部告示第4号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則(第1条~第3条)
第2章 部隊の出動等(第4条~第7条)
第3章 現場活動(第8条~第15条)
付則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この要綱は,取手市救急業務規程(平成元年消防本部訓令第8号)第44条第2項の規定に基づき,集団救急事故(局地的かつ短時間に多数の傷病者が発生した事故で,通常の出場体制では対応できないものをいう。以下同じ。)を対象として,救急隊等の効率的な運用と関係機関との連携により,総合力を持って迅速かつ安全に傷病者の救出救護を図るため,必要な事項を定めるものとする。
(運用の基準)
第2条 この要綱の運用基準は,次のとおりとする。
(1) 傷病者がおおむね10人以上発生したとき。
(2) 救急隊3隊以上を集中運用する必要があるとき。
(3) その他消防長が必要と認めるとき。
(活動の原則)
第3条 現場活動においては,医療機関,警察その他の関係機関と連絡を密にし,傷病者の効率的な救護に当たるとともに,傷病者の適切な選別(以下「トリアージ」という。)を行い,重傷者を最優先として必要な応急処置を施した後,それぞれの傷病者に適応した医療機関に迅速かつ安全に搬送することを原則とする。
第2章 部隊の出動等
(出動区分)
第4条 いばらき消防指令センターは,発生した災害又は事故(以下「災害等」という。)が第2条の運用基準に合致すると認知したときは,出動計画に基づき,所要部隊を出場させるものとする。
(他消防機関への応援要請)
第5条 消防長は,集団救急事故が発生し,現有の消防力で対応することが困難と判断したときは,消防相互応援協定に基づき,関係機関に応援を要請するものとする。
(災害派遣医療チームの出動要請)
第6条 災害派遣医療チーム(以下「DMAT」という。)の出動要請は,いばらき消防指令センターが,茨城消防救急無線・指令センター運営協議会特異な災害等に係る出動指令に関する要領第14条及び第15条の規定に基づき行うものとする。
(その他の関係機関への応援要請)
第7条 前2条に定めるもののほか,消防長は,その他の関係機関の応援が必要と認めるときは,当該関係機関の長に応援を要請するものとする。
第3章 現場活動
(先着隊による措置)
第8条 先着隊は,後着隊が到着するまでの間,次の順位に従い必要な措置を行うものとする。
(1) 災害状況の即報(災害発生場所・災害の概要・二次災害発生の有無・必要とする応援隊・患者数・進入経路)
(2) 指揮命令系統の確立
(3) 警戒区域の設定等の安全確保
(4) 情報伝達体制の確立
(5) 状況評価
(6) 処置
(7) 搬送
(現場指揮本部)
第9条 現場指揮本部の設置及び活動は,取手市消防本部指揮隊活動基準(平成26年消防本部告示第5号)に定めるところによる。
(現場救護所の設置)
第10条 現場救護所は,現場指揮本部を設置したとき又は必要に応じ,指揮隊長の指示に基づき設置するものとする。
2 現場救護所は,次の事項に留意して災害現場において最も適した場所に設置するものとし,「現場救護所」と表示する。
(1) 現場指揮本部との連絡が容易な場所
(2) 二次災害のおそれがない場所
(3) 出場隊の進入,退出路を別系統で確保できる場所
(4) 群衆の混乱による活動障害がなく,地形平坦で広い場所
(5) 通信障害が少ない場所
3 現場救護所には,トリアージ分類による傷病者の搬送位置をトリアージシート等で明示し,指定しておくものとする。
4 現場救護所の任務分担は,別表第1に定めるところによる。
5 現場救護所の指揮者は,DMAT等が現場に出場したときは,密接な連携の下に行動するものとする。
(トリアージの方法)
第11条 現場救護所で行うトリアージの方法と負傷者の取扱いは,次のとおり実施するものとする。
(1) トリアージの方法は,別表第2の緊急度分類表に基づき選別するものとし,この結果をトリアージタックにより表示する。
(2) トリアージタックの記入に当たっては,救命率の向上を図るため,所要事項についてはとりあえず知り得た範囲で記入し,時間の浪費を避けること。
(3) トリアージタックの処理については,別図に示す順序で行うものとし,当該トリアージタックの記載方法は,次のとおりとする。
トリアージタック | 担当 | 記載事項 |
1枚目 災害現場用 | 現場救護所 医療機関搬送救急隊 | 1 現場救護所は,性別及び負傷部位を記載後,医療機関搬送救急隊へ提出する。 2 医療機関搬送救急隊は,氏名,年齢及び搬送救急隊名を記載し,現場救護所に提出した後搬送する。 |
2枚目 搬送機関用 | 医療機関搬送救急隊 | 医療機関搬送救急隊は,搬送途上において1枚目の未記入事項の調査及び記載をして持ち帰り,現場救護所担当者へ提出する。 |
3枚目 収容医療機関用 | 警防課 | 警防課その他本部職員(医療機関担当)は,搬送先医療機関で,傷病者に表示してあるトリアージタックの調査内容を警防課へ報告する。 |
(搬送先医療機関の決定)
第12条 緊急度分類による搬送先医療機関の決定は,次によるものとする。
(1) 第1順位 救命救急センター及び第3次医療機関へ搬送するものとするが,心肺蘇生法を継続している傷病者等緊急に救命措置を必要とするものは,直近の医療機関へ搬送する。
(2) 第2順位 第2次医療機関へ搬送する。
(3) 第3順位 第1順位及び第2順位の傷病者の数と医療機関の収容能力を考慮し,その他の適応医療機関へ搬送する。
(4) 第4順位 原則として搬送活動は行わない。
(消防団の出動)
第13条 消防団は,消防長が災害等の状況等により必要と認めた場合に出動するものとする。
2 消防団の指揮者は,現場到着したときは,速やかに現場指揮本部に報告するとともに,警戒支援活動等の任務に従事するものとする。
(医療情報)
第14条 現場指揮本部及び通信室員は,集団救急事故が発生したときは,いばらき消防指令センターと協力し,速やかに医療機関の傷病者受入状況の調査に着手するものとする。
(報告及び広報)
第15条 現場指揮本部は,各隊より定期的に情報を取りまとめ,逐次消防長へ報告するものとする。
2 住民に対しての広報は,必要に応じて適時行うものとし,報道関係者に対しては,速報,中間報告,まとめ等,段階的に発表するものとする。
3 住民に対する広報は,災害現場における二次災害及び現場活動による危険防止を重点に,拡声器等を活用して行うものとし,報道関係者に対する広報は,広報担当者が専従して行うものとする。
付則
この要綱は,平成28年4月1日から施行する。
別表第1(第10条関係) 現場救護所の任務分担
任務担当 | 任務 | 備考 |
指揮者 | 1 現場救護所の指揮 2 現場指揮本部との連絡 3 必要資器材の調達 |
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受付分類担当 | 1 搬入傷病者の記録 2 傷病者のトリアージ 3 トリアージタッグの交付 4 収容場所の指示 | 現場に医師がいる場合は協力を求める。 |
救急処置担当 | 緊急度分類表に応じた救命処置及び応急処置 | 現場に医師がいる場合は,その指示に従って処置を行う。 |
救急車運用担当 | 1 緊急度分類表に基づく搬送順位の決定 2 救急車への収容人員の調整 3 搬送先医療機関の指示 |
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別表第2(第11条関係) 緊急度分類表
優先度 | 分類 | 色別 | 区分 | 傷病者の病態 |
第1順位 | 緊急治療群 | 赤 | Ⅰ | 生理学的評価に異常があるもの 救命処置を要するもの |
第2順位 | 非緊急治療群 | 黄 | Ⅱ | 治療の遅延が生命危機に直接つながらないもの 歩行不能 |
第3順位 | 治療不要又は軽症群 | 青 | Ⅲ | 歩行可能 必ずしも専門医の治療を必要としないもの |
第4順位 | 救命困難群又は死亡群 | 黒 | 0 | 心肺蘇生を施しても蘇生の可能性が低いもの,又は死亡しているもの |
別図(第11条関係) トリアージタックの流れ
1枚目 搬送機関が必要事項を記入し,現場救護所に提出する。
2枚目 判明した事項を追記して搬送救急隊が持ち帰り,現場救護所に提出する。
3枚目 消防本部で後日医療機関から回収し保管する。